原因不明の不妊の「意外な原因」10選|肩こり・便秘・歯周病・浮腫みが妊活に関わる理由を鍼灸師が解説

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原因不明の不妊の「意外な原因」10選|肩こり・便秘・歯周病・浮腫みが妊活に関わる理由を鍼灸師が解説

2026/08/08

原因不明の不妊の「意外な原因」10選|肩こり・便秘・歯周病・浮腫みが妊活に関わる理由を鍼灸師が解説

「原因不明」は、原因がないという意味ではありません

 

不妊の検査を一通り受けて、こう言われた方は少なくありません。

 

「特に異常はありませんね」

 

ホルモンの数値も、卵管も、精液検査も問題なし。それでも妊娠しない。この状態は原因不明不妊(機能性不妊)と呼ばれ、不妊症全体のうち一定の割合を占めるとされています。

 

ここで大事なのは、原因不明という言葉の意味です。これは「原因が存在しない」という意味ではなく、**今の検査項目では見つからなかった**という意味です。

 

不妊検査は、妊娠が成立するために絶対に必要な条件(排卵しているか、卵管が通っているか、精子がいるか、子宮の形に問題がないか)を確認するためのものです。逆に言えば、それ以外の全身の状態は、検査項目に入っていません。

 

当院に妊活で来られる方の体を診ていると、検査項目には入らないけれど、共通して抱えている不調があります。

 

肩こり・腰痛、姿勢の崩れ、便秘、浮腫み、歯周病、鼻の奥の慢性的な不調、花粉症などのアレルギー、繰り返すカンジダ、偏頭痛、そして痩せすぎ・太りすぎ。

 

この記事では、こうした「妊活と関係なさそうに見える不調」が、どういう道筋で妊娠しにくさとつながりうるのかを整理します。

 

最初に、この記事全体の姿勢をお伝えしておきます。

 

**ここで挙げる項目は、いずれも「これがあるから妊娠できない」と証明されたものではありません。** 肩こりを治せば妊娠する、歯周病を治せば妊娠する、という研究はありません。あくまで「妊娠しにくさと同じ背景を共有している可能性がある」「見落とされやすい入口である」という位置づけで読んでください。

 

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## 共通する4つの背景 — 炎症・血流・自律神経・材料

 

10個の項目はバラバラに見えますが、行き着く先はほぼ4つに集約されます。

 

### 1. 炎症

 

体のどこかで弱い炎症が続いている状態です。歯ぐき、鼻の奥、腸、膣、鼻粘膜、そして脂肪組織。

 

炎症を伝える物質(サイトカイン)が増えた状態は、排卵や着床の環境にとって望ましいものではないと考えられています。慢性炎症は不妊治療の領域でも注目されているテーマですが、「炎症を下げれば妊娠率が上がる」という結論が出ているわけではありません。

 

### 2. 血流

 

卵子が育つにも、子宮内膜が厚くなるにも、材料と酸素を運ぶ血流が必要です。

 

骨盤の中に血液を届けるルートは、股関節周囲を通っています。姿勢の崩れ、座っている時間の長さ、筋肉の使えていない状態は、このルートの条件を変えます。

 

### 3. 自律神経

 

生殖機能は、命の安全が確保されているときに働く機能です。

 

痛み、かゆみ、鼻づまり、不快感が続くと、交感神経が優位な状態が長引きます。眠りが浅くなり、回復が追いつかなくなります。

 

### 4. 材料(栄養)

 

ホルモンも卵子も子宮内膜も、材料からできています。

 

たんぱく質、鉄、ビタミンD、マグネシウム、そしてエネルギーそのもの。材料不足は、浮腫み・便秘・頭痛・冷えといった形で先に表に出てくることがあります。

 

この4つを念頭に置きながら、10項目を見ていきます。

 

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## 第1章 炎症の入口になりやすい5つ

 

### 歯周病 — このシリーズで最も報告がそろっているテーマ

 

歯周病は「歯の病気」というより「歯ぐきの慢性的な炎症」です。歯周ポケットの炎症面を合わせると相当な面積になり、そこから炎症を伝える物質が血流に乗って全身をめぐると考えられています。

 

妊娠との関係については、報告の確かさに差があります。

 

- 歯周病があると**早産や低出生体重児のリスクがやや高まる**という報告は、比較的一貫しています。
- 一方で、**妊娠してから歯周病の治療をすれば早産が減るのか**という点については、研究結果が一致していません。
- **妊娠までの期間や体外受精の成績との関連**を示す報告もありますが、こちらは結論が出ていません。

 

つまり、妊娠してから治すより、妊娠する前に済ませておくほうが理にかなっている、という整理になります。

 

さらに、妊娠すると歯ぐきの状態は悪化しやすくなります。歯ぐきは女性ホルモンに反応するため、エストロゲンとプロゲステロンが増える妊娠中は腫れやすくなります(妊娠性歯肉炎)。つわりが始まれば歯ブラシを口に入れられない日もあり、吐いた後の胃酸も影響します。

 

歯周病は、かなり進むまで痛みません。次のサインがあれば、歯科で確かめる価値があります。

 

- 歯磨きで血がにじむ
- 朝、口の中がねばつく
- 口臭が気になる
- 歯ぐきが下がって歯が長く見える
- 硬いものを噛むと違和感がある

 

なお、糖尿病があると歯周病が悪化しやすく、歯周病があると血糖のコントロールが乱れやすいという双方向の関係が知られています。血糖の波は妊活でも重要なテーマです。また歯ぐきはコラーゲンの組織なので、たんぱく質・ビタミンC・鉄・ビタミンDという顔ぶれは妊活で整えたい栄養と重なります。

 

### 慢性上咽頭炎 — 日本発の概念として、慎重に扱うべきテーマ

 

上咽頭は、鼻の穴のいちばん奥、のどの上のほうにある空間です。鼻から入った空気がのどに向かって曲がる場所で、ウイルス・細菌・ホコリ・花粉が最初に当たります。免疫の見張り役であるリンパ組織が集まっており、炎症が起きやすく慢性化しやすい構造をしています。

 

ここで正直にお伝えしておきます。

 

**慢性上咽頭炎は日本で提唱されてきた考え方で、国際的なエビデンスは限定的です。そして上咽頭炎と不妊の関連を示した研究は、確認できていません。**

 

それでも取り上げるのは、次のような訴えを抱えたまま「原因不明」と言われている方が実際にいるからです。

 

- のどの奥がイガイガする、鼻の奥に何か張りついている感じがある
- 鼻水がのどに流れる(後鼻漏)、朝に痰がからむ
- 首や肩の後ろが重い、頭が重い
- 理由のわからないだるさが続く
- 風邪をひくと毎回のどからくる

 

この考え方の中心にあるのは、体のどこかに小さな炎症の火種が居座り続けているという発想(病巣感染説)です。IgA腎症など離れた場所の病気との関連が報告されてきました。上咽頭の近くには自律神経(とくに迷走神経)の枝が通っており、首肩の重さや疲労感と結びつけて説明されます。

 

上咽頭を擦る治療(EAT、Bスポット療法)を行っている耳鼻科もありますが、質の高い研究が十分にそろっているわけではありません。**妊娠するための治療ではありません。**

 

また、次の症状は別の病気を確かめる必要があるため、必ず耳鼻咽喉科を受診してください。片側だけの鼻づまりが続く、鼻水に血が混じる、片方の耳のつまった感じが続く、首にしこりがある。

 

### 花粉症などのアレルギー — 免疫の話は、不安にならない範囲で

 

はじめに補正を置きます。**アレルギー体質だと妊娠しにくい、という研究結果は一貫していません。** 花粉症があるから妊娠できないという話ではまったくありません。

 

そのうえで、妊娠を免疫の側から見ると興味深い構造があります。

 

受精卵は半分が夫の遺伝子でできており、免疫の立場からは「自分ではないもの」です。それを排除せずに受け入れて育てるために、免疫はあえて攻撃しない調整(免疫寛容)を行っています。子宮内膜でも、この受け入れる側の免疫細胞が働くことがわかっています。

 

一方でアレルギーは、本来無害なものに免疫が過剰に反応している状態です。同じ免疫という土台の上で起きていることなので、無関係とは言い切れない、という程度の話として受け取ってください。

 

妊活の実務として大きいのは、次の2点です。

 

**① 鼻粘膜の炎症も、全身の炎症負荷に足し算される**

 

歯周病、便秘、上咽頭の不調にアレルギーが重なっていれば、火種が同時に燃えている状態になります。

 

**② 睡眠が壊れる**

 

鼻がつまる、口で呼吸する、のどが乾く、夜中に目が覚める、朝に頭が重い。深いノンレム睡眠のときに成長ホルモンが分泌され、メラトニンには抗酸化の働きがあるとされています。花粉のシーズンだけ体調と周期が乱れる方は、原因は花粉そのものより睡眠の破壊かもしれません。

 

そして最も伝えたいのが薬の扱いです。

 

**妊活中だからと自己判断で薬をやめるのが、一番よくありません。** 抗ヒスタミン薬や鼻に噴霧するタイプの薬には、妊娠中の使用について情報が蓄積されているものがあります。何を選ぶかは医師の判断ですが、選択肢はあります。「妊活中です」「妊娠したら続けられる薬にしたいです」と耳鼻科や薬剤師に伝えてください。

 

舌下免疫療法はシーズン前に始めるものです。妊娠がわかってから新しく始めることは通常しませんが、すでに続けている場合の判断は医師が行います。妊活のタイムラインとあわせて相談する価値があります。

 

ビタミンD、腸内環境、オメガ3とアレルギーの関連は研究されていますが、「これを摂れば花粉症が治る」という段階ではありません。

 

### カンジダと膣内フローラの乱れ

 

健康な膣の中には、ラクトバチルス(乳酸菌)が優位に住んでいます。この乳酸菌が乳酸を作ることで膣内は弱酸性に保たれ、他の菌が増えにくい環境ができます。膣は、自分で守る力を持っている場所です。

 

バリアが崩れると、方向の違う2つの状態が起こります。

 

| | 細菌性膣炎 | カンジダ |
|---|---|---|
| 原因 | 乳酸菌が減り、他の細菌が増える | カビ(真菌) |
| おりもの | 灰色っぽい | 白くポソポソ |
| 匂い | 魚のような匂いが出ることがある | 強くない |
| かゆみ | 少ないことが多い | 強い |

 

**原因も治療も違います。** 市販の抗真菌薬を細菌性膣炎に使っても意味がありません。妊娠中に使えない市販薬もあります。初めての症状、繰り返している症状は、婦人科で確かめてください。

 

着床との関係については、近年の研究で子宮内膜にも細菌がいることがわかってきており、ラクトバチルスが優位だったグループのほうが着床率や妊娠率が高かったという報告があります。

 

ただし、これらは小規模な研究で結論は出ていません。膣内や子宮内のフローラを調べる自費検査もありますが、**検査して介入すれば妊娠率が上がる、と言えるところまでは来ていません。** 過度な期待も、過度な不安も必要ないテーマです。

 

一方、細菌性膣炎と早産の関連は報告されており、妊娠前に整えておく意味は歯周病と同じ構造で説明できます。

 

カンジダを繰り返す方には、共通の背景があることがあります。抗生剤を飲んだあと、血糖の波が大きい生活、睡眠不足と疲労、ナプキンやおりものシートによる蒸れ、そして洗いすぎです。繰り返す場合は、HbA1cを測ってもらう価値があります。PCOSでインスリン抵抗性がある方は、そこが背景になっていることもあります。

 

そして見落とされがちなのが、現実的な影響です。かゆみや炎症があると性交痛が出て、タイミングが取れなくなります。夫婦のあいだで気まずくなり、申し訳なさを抱える方もいます。確率を語る前に、ここが止まっていたら前に進みません。

 

なお、乳酸菌のサプリメントで膣内のフローラが変わるかどうかは研究段階です。「これを飲めば整う」という言い方はできません。

 

### 便秘 — 腸のバリアと、材料の入り口

 

便が長く腸にとどまると、腸内細菌のバランスが崩れやすくなります。腸の壁は必要なものだけを通す関所の役目をしており、この働きが落ちた状態では体の中で弱い炎症が続きやすくなると考えられています。腸は消化の場所というより、免疫の最前線です。

 

エストロゲンとの関係も研究されています。使い終わったエストロゲンは肝臓で処理されて腸から排出されますが、このとき腸内細菌のある種の酵素が働くと再吸収されて体に戻る、という仕組みが検討されています(エストロボローム)。滞る時間が長いほど再吸収が起こりやすいのではないか、という説です。

 

ただしこれは**仮説の段階**です。便秘を治せばホルモンバランスが整う、と言えるところまでは来ていません。

 

そのほか、次の道筋も考えられます。

 

- 腸がガスと便でふくらんだ状態は、物理的に骨盤内を圧迫する
- 腸が動くのは副交感神経が優位なとき。便秘は自律神経の状態を映すサインでもあり、腸の不快感そのものがストレスにもなる(双方向)
- 便秘があると栄養が入りにくい。とくに鉄と亜鉛は吸収の条件が繊細
- 逆に、鉄剤を飲み始めて便秘になる方も多く、飲めない・続かない・貯蔵鉄が戻らないという悪循環が起こる

 

**便秘が続いていて、寒がり・だるさ・体重増加・生理不順が重なっている場合は、甲状腺の機能が落ちているサインの可能性があります。** TSHを測ってもらってください。

 

刺激性の下剤を毎日使っている方は、自己判断でやめるのではなく、主治医や薬剤師に妊活中であることを伝えて相談してください。

 

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## 第2章 血流の条件を変える3つ

 

### 肩こり・腰痛などの慢性痛

 

慢性痛そのものが不妊の原因になるという研究はありません。ただ臨床では、慢性痛を長く抱えている方がとても多く、これは同じ背景を共有しているからだと考えています。

 

血流の面では、次の流れが起こります。

 

- 肩や腰の筋肉が固まる → 姿勢が崩れる → 呼吸が浅くなる
- 横隔膜が動かなくなる。横隔膜は内臓と骨盤内の循環にとってポンプのような存在です
- 痛みで動きたくなくなる → 座っている時間が伸びる → ふくらはぎのポンプも使われない

 

自律神経の面は第3章で扱います。

 

### 姿勢の崩れ

 

姿勢を整えたら妊娠率が上がる、という研究はありません。姿勢は「見た目」ではなく「機能」として見てください。姿勢の崩れは、呼吸が浅い・血流が滞っている・使えていない筋肉がある、という3つのサインです。

 

**猫背・巻き肩**:肋骨が広がらず横隔膜が下がりきらないため、浅い胸の呼吸だけになります。浅い呼吸は交感神経を優位にします。

 

**骨盤の傾き**:デスクワークで多い骨盤後傾(仙骨に体重を乗せた座り方)と、反り腰(骨盤前傾)。どちらも股関節まわりの筋肉が硬くなり、動かなくなります。骨盤の中に血液を送る動脈は、この股関節まわりを通っています。

 

**腹圧**:横隔膜・腹筋・骨盤底筋は風船のように連動してお腹の圧を作っています。連動が乱れると、便秘や尿もれ、下腹の重さとして出てくることがあります。骨盤底は妊娠中と産後にも関わる場所です。

 

**座位時間**:姿勢の話は時間の話でもあります。同じ姿勢で座り続けると鼠径部が圧迫され、ふくらはぎのポンプも使われません。これは夫にも当てはまり、長時間の座位は精巣の温度が上がりやすいとされています。

 

**頭が前に出る姿勢**:首の周囲には交感神経の通り道があり、首肩の慢性的な緊張が自律神経のバランスに影響しうると考えられています。ここは断定できる領域ではありませんが、首肩がゆるむと眠りやすくなる方は多いです。

 

そしてもうひとつ。体温の多くは筋肉の活動から生まれます。姿勢が崩れている状態は、大きな筋肉(お尻・太もも・背中)を使えていない状態です。冷えを体質で片づける前に、使っていない筋肉がないかを見てください。

 

### 浮腫み

 

浮腫みそのものが不妊の原因になるという研究はありません。ただ浮腫みは、材料不足と循環の効率を同時に教えてくれるサインです。

 

**たんぱく質**:血管の中に水を引き留めているのはアルブミンというたんぱく質です。これが減ると水は血管の外にしみ出します。つまり浮腫みは「水を摂りすぎた」のではなく「水を血管内に留める力が弱い」状態のこともあります。アルブミンが低いということは、ホルモンも卵子も内膜も材料が足りないということです。

 

**水分不足でも浮腫む**:体は水が入ってこないと判断すると、今ある水を溜め込みます。浮腫むのが怖くて飲まない、は逆効果です。

 

**毛細血管レベルの循環**:浮腫んでいる状態は、細胞と血管のあいだに余分な水がある状態です。酸素と栄養はこの隙間を通って細胞に届きます。

 

**月経周期**:排卵後から生理前はプロゲステロンの影響で水分を保持しやすい時期です。この時期だけ浮腫む、体重が1〜2kg増えるのは生理的な変動です。問題は、周期に関係なく毎日浮腫んでいる場合です。

 

**甲状腺**:浮腫みに加えて寒がり・だるさ・体重増加・便秘・生理不順が重なるなら、甲状腺の機能が落ちている可能性があります。TSHとFT4を測ってもらってください。

 

**次の場合は自己ケアの話ではありません。すぐに医療機関へ。** 片脚だけが急に浮腫む、痛みがある、息切れがある、尿の量が明らかに減った。

 

なお、利尿をうたうサプリメントや漢方を自己判断で使うことはおすすめしません。原因を確かめる前に水だけ抜いても、材料不足は残ります。

 

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## 第3章 自律神経を削り続ける2つ

 

### 慢性痛と、痛みの回路

 

痛みは体にとっての危険信号です。信号が鳴り続けると、体は戦うモードから降りられなくなります。交感神経が優位な状態では血管が締まり、消化も生殖も後回しになります。生殖機能は、命が安全なときにやることだからです。

 

さらに慢性痛が続くと、脳の痛みを感じる回路が敏感になっていきます(中枢性感作)。刺激が同じでも、痛みが強く長く感じられるようになります。慢性痛は、それ自体が持続的なストレス源になっていくのです。

 

睡眠も削られます。痛みで寝返りのたびに目が覚める、深く眠れない。眠れない → 回復しない → 痛みが強くなる → また眠れない、というループに入っている方が本当に多いです。

 

**鎮痛薬について**:非ステロイド性の鎮痛薬(NSAIDs)を排卵期に使い続けると、卵胞が破れずに排卵が起こりにくくなる(黄体化非破裂卵胞)という報告があります。

 

ただしこれは自己判断で薬をやめるという話ではありません。痛みを我慢するほうが交感神経には負担です。「妊活中なので、飲むタイミングや種類を相談したい」と主治医や薬剤師に伝えてください。

 

### 偏頭痛(片頭痛)

 

片頭痛そのものが不妊の原因になるという研究はありません。ただ片頭痛は、ホルモンの変動に体が強く反応するタイプであることと、材料が足りていない可能性を教えてくれます。

 

こめかみが脈打つように痛むため血管の病気と思われがちですが、現在は三叉神経から炎症物質(CGRPなど)が出て血管周囲で炎症と痛みが起こり、そのおおもとに脳の過敏性があるという考え方が主流です。光・音・匂いがつらくなるのは、脳が過敏になっているからです。

 

**ホルモンとの結びつき**:生理前から生理中に起こる片頭痛(月経関連片頭痛)は、エストロゲンが急に下がることが引き金になると考えられています。妊娠中期以降に軽くなる方が多いのは、エストロゲンが高いまま安定するためです。

 

**背景に並ぶ顔ぶれ**:鉄不足、マグネシウム不足、睡眠不足(寝不足も寝すぎも)、血糖の波、脱水、気圧の変化。妊活で整えたい項目と重なります。とくに鉄は、Hbが正常でも隠れ貧血のことがあるので、フェリチンまで測ってください。

 

**薬の見直しが必要なケース**:痛み止めを月に10日以上使っている方は、薬の使いすぎ自体が頭痛を起こしている可能性があります(薬剤の使用過多による頭痛)。また片頭痛の予防に使われる薬の中には、妊娠中に使えないもの、赤ちゃんへの影響が知られているものがあります。妊娠がわかってから慌てて中止するより、妊活を始める段階で見直すのが本来の順番です。

 

**絶対に自己判断でやめないでください。** 「妊活中です」「妊娠したら続けられる薬にしておきたいです」と主治医に伝えてください。痛みを我慢するのも違います。

 

片頭痛のある女性は妊娠高血圧腎症のリスクがやや高いという報告があります。怖がる話ではなく、産科の先生に片頭痛持ちであることを伝えておく価値がある、という話です。

 

**次の場合はすぐに受診してください。** 今までに経験したことがない激しい頭痛、発熱と首の硬さ、手足の力が入らない、しゃべりにくい、視覚の異常が長く続く。

 

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## 第4章 材料の問題 — 痩せと肥満

 

BMIだけで妊娠できるかどうかは決まりません。標準体重でも妊娠しない方はいますし、標準から外れていても妊娠する方はたくさんいます。ここを自責の材料にしないでください。

 

そのうえで、体重は体の中でエネルギーとホルモンがどう回っているかを映す数字です。しかも両端で、まったく違う理由で妊娠しにくくなります。

 

### やせ側 — 生殖は「余力があるときにやること」

 

エネルギーが足りていないと判断すると、脳の視床下部はホルモンを出す指令のリズム(GnRHのパルス)を落とします。卵巣への指令が弱まり、排卵が止まる、もしくは弱くなります。これが機能性視床下部性排卵障害です。

 

**怖いのは、BMIが正常な人にも起こることです。** 問題は体重の数字ではなく、使えるエネルギーが足りているかどうかです。ジムに通っている方、走っている方、立ち仕事の方、育児で動き続けている方は、BMIが正常でも足りていないことがあります。

 

体重は変わっていないのに生理が短くなった、量が減った、基礎体温の上がりが悪い。これはエネルギー不足のサインかもしれません。原因不明の不妊と言われる方の中に、この状態の方は確実にいます。

 

脂質を避けすぎている方も要注意です。コレステロールはホルモンの原料であり、減らせばいい材料ではありません。

 

### 肥満側 — インスリンと、ホルモンを出す脂肪組織

 

体脂肪が増えるとインスリンが効きにくくなり(インスリン抵抗性)、血液中のインスリンが多い状態が続きます。高いインスリンは卵巣に働いて男性ホルモンを増やし、さらに性ホルモン結合タンパク(SHBG)を下げるため、活性の高い男性ホルモンが増えます。結果として排卵しにくくなります。PCOSで起きているのと同じ流れです。

 

また脂肪組織にはアロマターゼという酵素があり、そこでエストロゲンが作られます。脂肪組織はホルモンを出す臓器でもあり、炎症を伝える物質も出します。

 

体外受精の成績や流産率との関連も報告されていますが、個人差が大きく、決めつけられる話ではありません。

 

**夫も同じです。** 肥満のある男性では精子の所見が下がりやすいことが報告されています。テストステロンが脂肪組織でエストロゲンに変換されやすくなること、下腹部の脂肪で精巣の温度が上がること、座っている時間の長さが背景にあります。精子は約3ヶ月前の生活を映します。

 

### 減量の落とし穴

 

肥満のある方が体重の5〜10%を落とすと排卵が戻るという報告があります。全部落とす必要はありません。

 

ただし、急激なダイエットに走らないでください。エネルギー不足を作れば、やせ側で起きていることと同じことが起こり、排卵が止まるほうに振れてしまいます。減らすのは体脂肪、守るのはたんぱく質と鉄と食事の回数です。

 

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## 東洋医学から見ると、これらは同じ根っこで説明される

 

東洋医学には不通則痛という言葉があります。通じなければ痛む、という意味です。

 

気の流れが滞れば(気滞)、血の流れも滞ります(瘀血)。肩こり・腰痛・生理痛・頭痛は、もともと同じ根っこから説明される症状です。

 

| 項目 | 東洋医学的な見方 |
|---|---|
| 肩こり・腰痛 | 気滞から瘀血。腰は腎の府 |
| 姿勢 | 背骨を通る督脈・膀胱経の滞り |
| 便秘 | 脾胃の弱り、気を下に降ろす働きの滞り |
| 浮腫み | 水滞(水湿)。さばくのは脾と腎の仕事 |
| 歯周病 | 歯は骨の余りで腎に、歯茎は胃経に関わる |
| 鼻・のどの不調 | 肺と衛気の弱り、痰湿、梅核気 |
| 花粉症 | 衛気の弱りと水湿。脾と腎がさばききれない状態 |
| おりものの異常 | 下焦の湿熱 |
| 生理前の頭痛 | 肝の気が上に突き上げる状態。生理後は肝血虚 |
| やせ | 気血両虚、脾胃の弱り |
| 肥満 | 痰湿、脾の運化不足 |

 

東洋医学では、やせも肥満も脾胃の力の問題として同じ枠で説明します。食べ過ぎか食べ足りないかという単純な話ではありません。

 

なお、これらは体の状態を捉えるための説明モデルです。性格や心の在り方が病気を作るという解釈(我慢すると病気になる、感情の塊が体にできる、など)は、根拠がないうえに自分を責める材料になってしまうため、当院では採りません。

 

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## 血液検査で確認したい項目

 

「意外な原因」の多くは、血液検査で背景を確認できます。妊活中の方が測る価値がある項目を挙げます。

 

| 項目 | 何がわかるか |
|---|---|
| Hb・MCV | 貧血の有無と、そのタイプ |
| フェリチン | 貯蔵鉄。Hbが正常でも低いことがある(隠れ貧血) |
| 総蛋白・アルブミン | たんぱく質の充足。浮腫みの背景 |
| 25(OH)D | ビタミンDの充足 |
| TSH・FT4 | 甲状腺の機能。便秘・浮腫み・冷え・生理不順の背景 |
| HbA1c・空腹時血糖 | 血糖の状態。繰り返すカンジダの背景 |
| CRP | 炎症の有無(軽度の慢性炎症は拾えないことも) |

 

フェリチンは炎症があると高めに出るため、数値だけで判断せず、医師に読んでもらってください。またサプリメントを始める前に測ることをおすすめします。足りていないものを確かめてから足すほうが、無駄がありません。

 

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## 症状別・どこに相談すればいいか

 

妊活だからといって、すべてを不妊クリニックで解決しようとしなくて大丈夫です。

 

| 気になる症状 | 相談先 |
|---|---|
| 歯ぐきの出血、口のねばつき | 歯科(歯周基本検査を依頼) |
| 鼻の奥の違和感、後鼻漏 | 耳鼻咽喉科 |
| 花粉症の薬の見直し | 耳鼻咽喉科・アレルギー科・薬剤師 |
| おりもの、かゆみ、性交痛 | 婦人科 |
| 頭痛の薬の見直し | 脳神経内科・頭痛外来 |
| 便秘が続く、下剤の常用 | 内科・消化器内科 |
| 浮腫み(片側・急な発症) | 内科(すぐに) |
| 肩こり・腰痛、姿勢 | 整形外科・鍼灸整体 |
| 体重や食事のことで苦しくなる | 心療内科・専門の相談機関 |

 

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## 今日からできること — 各テーマの「ひとつだけ」

 

全部やろうとすると続きません。気になった項目のひとつだけを選んでください。

 

- **肩こり・腰痛**:30分〜1時間座ったら立ち上がる。鼻から吸って口から長く吐く呼吸を3回
- **姿勢**:椅子では坐骨を座面に立てて乗せ、足裏全体を床につける。崩れたら戻す回数を増やす
- **便秘**:起床後に水分を1杯、朝食を抜かない、朝トイレに座る時間を3分確保する
- **浮腫み**:かかと上げを20回。朝食にたんぱく質を20gほど
- **歯周病**:今月中に歯科で歯周基本検査を予約する。夫も一緒に。夜だけでもフロスを使う
- **鼻の奥の不調**:生理食塩水での鼻うがい(0.9%。水道水をそのまま使わず、煮沸して冷ましたお湯か精製水で)
- **花粉症**:シーズン中は寝室に花粉を持ち込まない。帰宅直後に着替えとシャワー
- **カンジダ**:膣の中は洗わない。外陰部だけをぬるま湯でやさしく。下着は通気性のよいものに
- **偏頭痛**:頭痛ダイアリーを2〜3ヶ月。痛んだ日、生理が来た日、薬を飲んだ日、寝た時間の4つだけ
- **体重**:体重計に乗るより先に、3日だけ食事の回数と、たんぱく質が入った回数を数える

 

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## よくある質問(FAQ)

 

### Q. 原因不明の不妊と言われました。この記事の項目に当てはまれば、それが原因ということですか?

 

いいえ。当てはまったからといって、それが原因だと確定するわけではありません。この記事で挙げた項目は、いずれも「これがあるから妊娠できない」と証明されたものではありません。妊娠しにくさと背景を共有している可能性がある入口として、確かめる価値がある、という位置づけです。

 

### Q. 肩こりを治せば妊娠できますか?

 

肩こりを治せば妊娠する、という研究はありません。ただ慢性痛は交感神経を優位にし続け、睡眠を削り、動く量を減らします。この状態を放置する理由はない、という考え方です。

 

### Q. 歯周病と不妊の関係は、どこまでわかっているのですか?

 

歯周病があると早産や低出生体重児のリスクがやや高まるという報告は比較的一貫しています。一方、妊娠までの期間や体外受精の成績との関連については報告はあるものの結論が出ていません。また、妊娠してから治療すれば早産が減るかどうかも研究結果が一致していません。だからこそ、妊娠前に済ませておく意味があります。

 

### Q. 慢性上咽頭炎の治療をすれば妊娠しやすくなりますか?

 

そう言える根拠はありません。慢性上咽頭炎は日本で提唱されてきた考え方で国際的なエビデンスは限定的であり、不妊との関連を示した研究も確認できていません。EAT(Bスポット療法)は妊娠するための治療ではありません。

 

### Q. 膣内フローラの検査は受けたほうがいいですか?

 

ラクトバチルスが優位なほうが着床率が高かったという報告はありますが、小規模な研究で結論は出ていません。検査して介入すれば妊娠率が上がるとは言えない段階です。受けるかどうかは、費用と目的を含めて主治医と相談してください。

 

### Q. 妊活中は薬を飲まないほうがいいですか?

 

自己判断で中止することはおすすめしません。花粉症の薬や頭痛の薬には、妊娠中の使用について情報が蓄積されているものがあります。一方で、妊娠中に使えない薬もあります。だからこそ「妊活中です」と伝えて、続けられる薬に整えておくことが大切です。判断は必ず医師に委ねてください。

 

### Q. サプリメントで炎症を下げれば妊娠しやすくなりますか?

 

サプリメントで炎症を下げれば妊娠する、という証明はされていません。まずは血液検査で足りていないものを確かめ、食事と睡眠を整えることが土台になります。

 

### Q. 夫にも関係がありますか?

 

あります。歯周病、肥満、長時間の座位、睡眠不足は、いずれも男性側でも報告があるテーマです。不妊の原因の約半数は男性側にあるとされています。精子は約3ヶ月前の生活を映すため、夫婦で同時に取り組むほうが効率がよくなります。

 

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## 当院の考え方

 

鍼灸整体こうのとり治療院(兵庫県西宮市大井手町3-6 ヴァンベール夙川)では、妊活を「夫婦で妊娠力を高める」ものと考えています。

 

原因不明と言われた方に対して、当院が特別な検査や治療を持っているわけではありません。できるのは、体に起きていることを一緒に整理して、炎症・血流・自律神経・材料という4つの土台を整えるお手伝いをすることです。

 

そして、鍼灸や整体だけで完結させようとしません。歯科、耳鼻科、婦人科、内科。行くべき場所があるなら、そちらを優先してお伝えします。施術に加えて、トレーニングとセルフケアを詳しくお伝えするのも、家で過ごす時間のほうが圧倒的に長いからです。

 

西宮・夙川で妊活の鍼灸をお探しの方、原因不明と言われて次の一手を探している方は、一度ご相談ください。

 

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## 免責事項

本記事は、妊活に取り組む方に向けた一般的な健康情報の提供を目的としています。特定の疾患の診断・治療・予防を目的としたものではなく、医師による診療や検査の代わりになるものではありません。記載した内容には、研究が進行中のもの、報告が一致していないもの、仮説の段階のものが含まれます。

鍼灸・整体の施術によって、不妊症・子宮内膜症・子宮筋腫・PCOS・歯周病・アレルギー疾患などの疾患が治癒することを保証するものではありません。症状や治療方針については、必ず主治医にご相談ください。服用中の薬を自己判断で中止・変更しないでください。

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## 著者

**川口浩平(かわぐち こうへい)**
鍼灸師。臨床経験10年以上。鍼灸整体こうのとり治療院(兵庫県西宮市大井手町3-6 ヴァンベール夙川)院長。

夫婦で妊娠力を高める妊活サポートを中心に、マタニティ整体、赤ちゃんの頭の形の整体、肩こり・腰痛などの慢性痛、美容整体に対応。施術に加えて、ご自宅で続けられるトレーニングとセルフケアの詳細な指導を強みとしています。東洋医学の考え方と現代医学の生理学の両面から、根拠の確かさを区別しながら情報をお伝えすることを大切にしています。

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